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2026年は大きな変化の年!ピンチ→チャンス→チャレンジ
米国の政治革命が世界最大の不確実性に
毎年年初にお話ししていますが、今年もユーラシア・グループが公表している「2026年の10大リスク」から見ていきたいと思います。今年は非常に異例で、米国に関するテーマが目立って多くなっています。本来は1月5日に発表されますが、その直前にトランプ大統領がベネズエラに対して強硬姿勢を示したことで、分析側も大きな修正を迫られたのではないかと思います。
その中で最大のリスクとされているのが「米国の政治革命」、いわゆるトランプ革命です。米国はこれまで自らが主導して作り上げてきた国際秩序を、いま自らの手で解体しつつあります。世界最強国が国内政治の革命期にあるというのは過去にあまり例がありません。この革命が成功するのか失敗するのかは誰にも分かりませんが、方向性が定まれば、その影響は一世代、50年規模で続くと見られています。
この革命は単なる政治の話ではなく、驚異的な技術革命と同時進行で起きています。AIは人類が生み出した最大の機会であると同時に最大のリスクでもあります。業務効率化や新産業創出が進む一方で、雇用、民主主義、情報操作、軍事利用など、あらゆる分野に予測不能な影響を与えています。トランプ革命は、まさにこのAI革命の真っただ中で進んでいる点が重要です。
トランプ政権は当初、政治的な戦術レベルで規範を破壊してきましたが、現在は制度そのものの変革へと進んでいます。司法省やFBIなど、本来は政治から独立して運営されるべき機関の業務上の独立性を弱め、ホワイトハウスの意向を通しやすい構造へ変えつつあります。さらにFEMA、CDC、FDA、NSC、NOAAといった国家の基盤を支える機関の予算削減を進め、行政機能そのものを縮小させています。
加えて、多くの高官人事を入れ替えることで、統計、監査、監察といった「大統領を抑制する装置」を弱体化させています。これまで政府から独立していた制度、官僚機構、監察官制度を標的にし、制約条件を一つずつ外しているのが実態です。つまり米国は今、世界の安定装置であると同時に、最大の不安定要因にもなりつつあります。
多国間主義の終焉とGゼロ化の進行
こうした動きの中で、世界は「Gゼロ化」に向かっています。かつてはG7が世界の方向性を示してきましたが、現在は明確な主導国が存在しません。米国は多国間主義を基盤とした国際協調から離脱し、二国間交渉を中心とした力による秩序形成へと転換しています。
トランプ政権は「非常に混乱した危険な時代に対応するため」として国防予算の大幅拡大を打ち出し、軍事力と経済力を背景に他国を交渉で押し切る構えを見せています。これは自由貿易を基盤とした秩序から、新しい帝国主義的構造への移行を意味します。
本来のアメリカは多国間主義の国というより、自国主義の国です。初代大統領ワシントンは「外国との同盟を避けよ」と述べましたし、第一次世界大戦後の国際連盟も米国議会は批准せず、米国は参加できませんでした。冷戦期はソ連対抗のために例外的に国際協調を主導しましたが、そのコストが国民の負担となり、不満が蓄積してきました。
その結果、国際機関から米国が距離を置くことで、その空白を中国が埋めようとしています。WHO、ITUなどでは中国の影響力が急拡大しています。特にITUは通信規格やインターネット基盤を決める組織であり、ここでの主導権はデジタル経済の覇権に直結します。下手をすると、ネット空間のルールさえ中国主導に書き換えられる可能性があります。
過去30年はグローバリズムの時代でしたが、現在は新帝国主義の時代へ移行しつつあります。自由競争資本主義は独占資本主義へ、国家は平等から「力のある国につく」構造へ変わっています。かつての植民地型帝国主義と違い、現代は経済力と国家権力による支配が中心となります。
技術革命と情報・セキュリティの再設計
同時に、技術進化は社会構造を大きく変え続けています。1969年のARPANETから始まったインターネットは、1989年のWEB発明、1995年のWindows95、2007年のiPhone、そして2023年以降の生成AIへと加速度的に発展してきました。社会は今やAI抜きでは語れない段階に入っています。
情報セキュリティの考え方も変わりました。米国標準技術研究所は、複雑なパスワードを作らせる方式から、「使われやすい文字列を排除する方式」へ転換しています。大文字や記号を混ぜるより、漏えいリストに載るような文字列を登録できなくする方が実効性が高いという考え方です。
さらにパスキー認証が普及しつつあります。スマホやPCの生体認証でログインし、パスワードを送信しない仕組みです。証券口座への不正アクセスが増える中、金融庁も推奨しています。ただし利便性が高まる一方で、端末紛失時のリスク管理やバックアップ設計は、これまで以上に重要になります。
日本経済と小売業が直面する構造変化
次に日本経済です。日本の1人当たりGDPは下落が続き、順位も後退しています。少子高齢化、人口減などありますが、要因の一つは労働時間の減少でもあります。1990年に2,031時間あった日本の労働時間は、2024年には1,617時間まで下がりました。一方で米国は1,796時間と、日本を上回っています。
さらに深刻なのは生産性です。時間当たり労働生産性は米国が大きく伸びているのに対し、日本は伸び幅が小さく、順位も低下しています。働き方改革は必要でしたが、「時間を減らす改革」だけで「生産性を上げる改革」が伴わなかった点が問題です。
その結果、円安が進み、物価は上昇しています。おせち商戦ではイクラ、牛肉、卵などが歴史的高値圏となり、商品は1万円台と5万円台の二極化が進みました。夜遅くに値引き商品をまとめ買いするお客様が増え、一億総中流と呼ばれた時代ではなく、中間層の分解が進んでいます。
人口減少も重なります。日本は毎年、山梨県規模の人口が減っています。高齢化、少子化、季節の二季化、祭事の希薄化が進み、従来型の山谷のある商売は作りにくくなっています。特に最近は春と秋が短くなり、夏と冬が長くなる「二季化」が進んでいます。衣料、食品、催事、販促計画も従来のカレンダー通りでは機能しにくくなっています。
さらに生活者の価値観も変化しています。節約志向と同時に、「ここだけは削らない」というメリハリ消費が広がっています。スポーツ観戦や配信コンテンツを見ながらの家飲み・内食需要、簡便化需要、健康志向などが重なり、売場は単なる商品陳列ではなく「シーン提案」が重要になります。
今年は特に冬季五輪、WBC、サッカーワールドカップなどスポーツイベントがたくさんありますので、どういったスポーツ観戦をしながら食事をするのか、そういったシーンを想定しての提案が重要になってきます。
不安定な情勢でも3つの原点を忘れずに
これらの社会情勢の急激な変化を踏まえると52週MDも過去踏襲型ではなく、ゼロベースで再設計する必要があります。ただその中でも忘れてはいけないのが、平会長の言葉にある「お客様は、安く無ければ来てくれない」「お客様は、美味しく無ければ来てくれない」「お客様は、サービスが良く無ければ来てくれない」という商売の3つの原点です。
不透明な2026年ではありますが、価格だけでなく、価値、利便性、安心感を含めた総合力が問われます。各社が自分たちの強みを明確にし、MDを磨き続けることが最も求められている一年になると思います。先が見えにくい時代ですが、だからこそ基本に立ち返り、お客様視点で価値を積み上げて頑張っていきましょう。
毎年年初にお話ししていますが、今年もユーラシア・グループが公表している「2026年の10大リスク」から見ていきたいと思います。今年は非常に異例で、米国に関するテーマが目立って多くなっています。本来は1月5日に発表されますが、その直前にトランプ大統領がベネズエラに対して強硬姿勢を示したことで、分析側も大きな修正を迫られたのではないかと思います。
その中で最大のリスクとされているのが「米国の政治革命」、いわゆるトランプ革命です。米国はこれまで自らが主導して作り上げてきた国際秩序を、いま自らの手で解体しつつあります。世界最強国が国内政治の革命期にあるというのは過去にあまり例がありません。この革命が成功するのか失敗するのかは誰にも分かりませんが、方向性が定まれば、その影響は一世代、50年規模で続くと見られています。
この革命は単なる政治の話ではなく、驚異的な技術革命と同時進行で起きています。AIは人類が生み出した最大の機会であると同時に最大のリスクでもあります。業務効率化や新産業創出が進む一方で、雇用、民主主義、情報操作、軍事利用など、あらゆる分野に予測不能な影響を与えています。トランプ革命は、まさにこのAI革命の真っただ中で進んでいる点が重要です。
トランプ政権は当初、政治的な戦術レベルで規範を破壊してきましたが、現在は制度そのものの変革へと進んでいます。司法省やFBIなど、本来は政治から独立して運営されるべき機関の業務上の独立性を弱め、ホワイトハウスの意向を通しやすい構造へ変えつつあります。さらにFEMA、CDC、FDA、NSC、NOAAといった国家の基盤を支える機関の予算削減を進め、行政機能そのものを縮小させています。
加えて、多くの高官人事を入れ替えることで、統計、監査、監察といった「大統領を抑制する装置」を弱体化させています。これまで政府から独立していた制度、官僚機構、監察官制度を標的にし、制約条件を一つずつ外しているのが実態です。つまり米国は今、世界の安定装置であると同時に、最大の不安定要因にもなりつつあります。
多国間主義の終焉とGゼロ化の進行
こうした動きの中で、世界は「Gゼロ化」に向かっています。かつてはG7が世界の方向性を示してきましたが、現在は明確な主導国が存在しません。米国は多国間主義を基盤とした国際協調から離脱し、二国間交渉を中心とした力による秩序形成へと転換しています。
トランプ政権は「非常に混乱した危険な時代に対応するため」として国防予算の大幅拡大を打ち出し、軍事力と経済力を背景に他国を交渉で押し切る構えを見せています。これは自由貿易を基盤とした秩序から、新しい帝国主義的構造への移行を意味します。
本来のアメリカは多国間主義の国というより、自国主義の国です。初代大統領ワシントンは「外国との同盟を避けよ」と述べましたし、第一次世界大戦後の国際連盟も米国議会は批准せず、米国は参加できませんでした。冷戦期はソ連対抗のために例外的に国際協調を主導しましたが、そのコストが国民の負担となり、不満が蓄積してきました。
その結果、国際機関から米国が距離を置くことで、その空白を中国が埋めようとしています。WHO、ITUなどでは中国の影響力が急拡大しています。特にITUは通信規格やインターネット基盤を決める組織であり、ここでの主導権はデジタル経済の覇権に直結します。下手をすると、ネット空間のルールさえ中国主導に書き換えられる可能性があります。
過去30年はグローバリズムの時代でしたが、現在は新帝国主義の時代へ移行しつつあります。自由競争資本主義は独占資本主義へ、国家は平等から「力のある国につく」構造へ変わっています。かつての植民地型帝国主義と違い、現代は経済力と国家権力による支配が中心となります。
技術革命と情報・セキュリティの再設計
同時に、技術進化は社会構造を大きく変え続けています。1969年のARPANETから始まったインターネットは、1989年のWEB発明、1995年のWindows95、2007年のiPhone、そして2023年以降の生成AIへと加速度的に発展してきました。社会は今やAI抜きでは語れない段階に入っています。
情報セキュリティの考え方も変わりました。米国標準技術研究所は、複雑なパスワードを作らせる方式から、「使われやすい文字列を排除する方式」へ転換しています。大文字や記号を混ぜるより、漏えいリストに載るような文字列を登録できなくする方が実効性が高いという考え方です。
さらにパスキー認証が普及しつつあります。スマホやPCの生体認証でログインし、パスワードを送信しない仕組みです。証券口座への不正アクセスが増える中、金融庁も推奨しています。ただし利便性が高まる一方で、端末紛失時のリスク管理やバックアップ設計は、これまで以上に重要になります。
日本経済と小売業が直面する構造変化
次に日本経済です。日本の1人当たりGDPは下落が続き、順位も後退しています。少子高齢化、人口減などありますが、要因の一つは労働時間の減少でもあります。1990年に2,031時間あった日本の労働時間は、2024年には1,617時間まで下がりました。一方で米国は1,796時間と、日本を上回っています。
さらに深刻なのは生産性です。時間当たり労働生産性は米国が大きく伸びているのに対し、日本は伸び幅が小さく、順位も低下しています。働き方改革は必要でしたが、「時間を減らす改革」だけで「生産性を上げる改革」が伴わなかった点が問題です。
その結果、円安が進み、物価は上昇しています。おせち商戦ではイクラ、牛肉、卵などが歴史的高値圏となり、商品は1万円台と5万円台の二極化が進みました。夜遅くに値引き商品をまとめ買いするお客様が増え、一億総中流と呼ばれた時代ではなく、中間層の分解が進んでいます。
人口減少も重なります。日本は毎年、山梨県規模の人口が減っています。高齢化、少子化、季節の二季化、祭事の希薄化が進み、従来型の山谷のある商売は作りにくくなっています。特に最近は春と秋が短くなり、夏と冬が長くなる「二季化」が進んでいます。衣料、食品、催事、販促計画も従来のカレンダー通りでは機能しにくくなっています。
さらに生活者の価値観も変化しています。節約志向と同時に、「ここだけは削らない」というメリハリ消費が広がっています。スポーツ観戦や配信コンテンツを見ながらの家飲み・内食需要、簡便化需要、健康志向などが重なり、売場は単なる商品陳列ではなく「シーン提案」が重要になります。
今年は特に冬季五輪、WBC、サッカーワールドカップなどスポーツイベントがたくさんありますので、どういったスポーツ観戦をしながら食事をするのか、そういったシーンを想定しての提案が重要になってきます。
不安定な情勢でも3つの原点を忘れずに
これらの社会情勢の急激な変化を踏まえると52週MDも過去踏襲型ではなく、ゼロベースで再設計する必要があります。ただその中でも忘れてはいけないのが、平会長の言葉にある「お客様は、安く無ければ来てくれない」「お客様は、美味しく無ければ来てくれない」「お客様は、サービスが良く無ければ来てくれない」という商売の3つの原点です。
不透明な2026年ではありますが、価格だけでなく、価値、利便性、安心感を含めた総合力が問われます。各社が自分たちの強みを明確にし、MDを磨き続けることが最も求められている一年になると思います。先が見えにくい時代ですが、だからこそ基本に立ち返り、お客様視点で価値を積み上げて頑張っていきましょう。



