セルコグループは、全国のスーパーマーケットを様々な角度から支援するボランタリーチェーンです。

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理事長コラム

理事長コラム

対話型AIを使って自在にメニュー、POPフレーズが作成できるように

(前号よりの続き)
 当然SNSはうまく使えば社会の役に立ちます。テレビを見ていても、ほとんどのニュースで誰かの画像をもらって火事や事故などを報道していますし、これを使えば現場の状況ももっと早く伝えられ、災害や事故の把握、危機管理などに有効に使えます。
 その反面、課題はデマ対策です。中国で話題のTikTokやYouTubeなど中国に有利なプロパガンダを流して、ウイグルなどで行っている人権侵害の隠蔽をしているなど便利な反面、こういった負の一面もあります。

世界は「認知戦」で動く時代に
 そんな社会の混乱をどうやって防いでいくのか。今年は、特に「認知戦」への対応が必要になってきます。「認知戦」のイメージとしては、SNSなどの偽情報で相手の国民の意識に働きかけて、選挙結果を自国に都合よく誘導したり、国際世論を味方につけるなどです。最初の大きな認知戦として上げられるのは先のアメリカ大統領選で「ヒラリークリントンはひどい」という情報が流布し、トランプ票が集まったという事です。トランプが当選したときにはロシア議会は手を叩いて喜んだと言われています。そこからこの世界の混乱が始まったようにも思えます。
 陸の闘い、海の闘い、空の闘い、宇宙空間の闘い、それからサイバー戦、そして六つ目の闘いが認知戦と言われています。
 認知戦の部分で記憶に新しいのはウクライナ対ロシアでロシアが攻め込んだ時に、ロシア側はすぐに「ゼレンスキー大統領は逃亡した」、という情報を流しました。しかしゼレンスキー大統領は、「私たちはここにいる」という映像をすぐに流して打ち消したので、フェイクニュースは一瞬にして消されました。そのあとは物価上昇、小売経済の混乱についてロシア側は西側の諸国がロシアを制裁しているからだ、制裁によっておかしくなっているという情報を流しています。
 そんな中、各国では偽情報対策をどれぐらいやっているのか。米国は全て調査を始めています。英国、シンガポール、台湾もやっていますが、日本は何もやっていないというのが現状です。
 昨年12月に安保三法制が見直され、やっと日本もこれから認知戦に備えるということが決められました。これからSNSを監視するソフトウェアを入れることなどが議論され、さらにフェイクニュースを拡散した人を法律的に罰するというようなことも組み込まれています。

AIはうまく使えば便利
 次に明るいニュースでは、AIは次の局面を迎えつつあります。AIは今までは人の顔を認識する、あるいは碁の盤面を見て勝ち筋を考えるなど画像認識が主でした。
 そして次のステージとして、画像認識からAIを使って色々なものを生成できるようになってきています。画像認識から生成(Generative)へ。ジェネレーティブAIというもので、音楽、音声、映像、文章、絵画などを生成します。
 その中で私たちスーパーマーケットでも活用できるかなと思っているのが対話型言語モデルAIの「ChatGPT」です。
 これは「カレーライスを紹介する文章を作ってください」と頼むと
「カレーライスはスパイスをたっぷり使ったインド発祥の料理です。主にライスとカレー粉をベースにして作られ・・・・日本では家庭料理として人気があり・・・カレーライスは温かいうちに食べるのがおすすめです」とまるで人のように答えてくれます。

カレーライスのキャッチコピーも
 他にもカレーライスの作り方や、カレーライスのキャッチフレーズも
「スパイシーな風味がたまらない!」
「一度食べたらやみつきになる!」
「家庭料理としても人気のカレーライス!」
「スパイスとライスのマイルドなハーモニー!」
など様々なフレーズを考えてくれます。
 我々もPOPのアイデアやメニュー提案などについて、聞けば便利に使えるのではないかと思います。
 このようにコンピュータというのは先ほどの認知戦のような、社会を混乱させるようなものだけじゃなく、便利にも使えるというのが2023年になってくると思います。

まずは挨拶など基本の徹底から
 話をスーパーに向けると2023年は大きなチャレンジの年です。食品スーパーは14社のうち8社が減益または赤字という、大変厳しく先が見えなくて変化を必要とする時代です。ですから私たちはこれから多くのチャレンジをしていかなくてはいけない。こういう時だからこそピンチをチャンスに切り替えていく、そのために先が見えないときにはまず基本の徹底が頭に浮かびます。基本の徹底をしながら、変化に対してチャレンジしていく、ということが非常に重要だと思います。
 基本の徹底で昔から言われていて、できるようでできていないのが挨拶です。挨拶一つ考えても本当に徹底するというのは、どうやってできるのだろうかと。これはスーパーで働いている従業員の皆さんがみんなで考えること、こうやって挨拶をしていこうと、みんなでやっていけばできるかと思います。号令をかけるのはリーダーですが、やっている人たちが自分たちで考えて、自分たちで実行していく、という習慣をつけていくことが大切で、やはり店長をリーダーに徹底していけるかどうかにかかっています。
 昨年与野フードセンターでは木村社長を亡くし、大変残念でしたが、木村さんが与野フードに来て最初に言ったことは「レジで3人以上待たせない」ということ。だから全員がレジを打てるようにしようと。実は木村さんが着任する前からやっていて、全主任に研修なども行いできるようにしたのですが、いざやろうとなるとなかなかやれない、やらない。
 木村さんはそれを言い続けて、3人以上待たせないということを実現してくださいました。木村さんが亡くなられて、レジで3人以上待たせない、という精神がどれぐらい残っているか。まず気持ちよく買い物していただくためにはこれをやらなくてはいけない。当然現場では人時や荒利のコントロールもありますが、基本として「レジでお客様を待たせない」。これは与野フードに残していきたい大きな言葉だと思っています。
 AIができようと、どんなにテクノロジーが進もうとやはり人間がやっているのだから、こういうことがきちんとできるということが非常に重要で、それこそが基本の徹底だと思っています。
 基本の徹底というのをもう一回考え、そして変化に対応するチャレンジをして、前向きに上を見て進んでいけるよう、セルコグループ一丸となって頑張っていきましょう。(セルコチェーン2023年新春トップ会挨拶より)