セルコグループは、全国のスーパーマーケットを様々な角度から支援するボランタリーチェーンです。

トップページグループ案内会員一覧教育活動商品活動情報システム物流支援加入のご案内
理事長コラム

理事長コラム

我々の基本はあくまでも商品。時代を超えるスピード感ある行動を

イエローキャブが消えたアメリカ
 セルコチェーンの加盟企業様、並びにチェーン各社を応援指導して頂いていますお取組み企業様には、いつもお世話になっています。私は6月から7月にかけて久しぶりにセルコ、さえき会、ホック会の合同流通視察会でアメリカ西海岸を視察してきました。
 毎年のように各国の流通視察を行っていますが、今回の西海岸は本当に久しぶりでした。そこで今更ながら感じたことはデジタル化のスピードの速さでした。
 企業経営の皆様はIT、AI、IoTなどのデジタル化が医療、運輸、製造業、小売業、全ての社会分野において進んでいる、と理解されていると思います。実際、西海岸に行ってみて、そうした各分野において私個人の知識以上に進化と変化が激しいのを実感しました。特にそのデジタル化の中で医学の革新はものすごい。ゲノム編集などを含めて、治療医学から予防医学に変わってきています。そのうち、癌は、風をひいたぐらいにの感覚で、直せるところまで来るのではないでしょうか。
 日本経済新聞の正月号に寿命130歳の時代と書かれ、多くのマスコミで人生100年時代と言われています。本当にそれが現実化しつつあるのではないでしょうか。ITのおかげで病気の早期発見ができ、早期に治療ができるようになり、予防もできるようになってきているからです。
 医療だけでなく、交通、小売でIT化が進んでいます。今年、サンフランシスコのホテルに泊まった時に、街を歩いてもイエローキャブをほとんど見ることはありませんでした。地元の人に聞くと、たった3年でウーバーに乗り替わってしまったということです。市民の交通手段がイエローキャブからウーバーに替わって街の中からイエローキャブが消えてしまった。地元の方もびっくりしていました。これくらい変化が速いのです。
 日本は非常に規制の厳しい国ですが、世界の流れ、潮目の変化にはかなわないでしょう。早晩、想像しているより、早く物事が変わります。特に2020年の東京オリンピックを境に物事がガラッと変わるでしょう。例えば、国は無人バスを選手村から競技場へと100m〜200m、走らせ、日本の自動運転の技術が進んでいることを海外にアピールする最大の舞台にしようと考えています。
目まぐるしく進化するデジタル社会
 我々の家庭、会社を取り巻く環境を見ても、IT・IoT化の進化にはものすごいものがあります。例えば、ホテルを予約する場合、電話で予約する方は少ない。旅行会社に依頼する人は少ない。ほとんどの人はネットで予約しているのではないでしょうか。ネットは道具、ツールです。世の中がスムーズに流れるようにする潤滑油はITであり、その中身はAI、IoTなどへと進化してきています。今後はタブレットもしくはスマホ系になってしまうでしょう。ガラケーの方はできる限り早くスマホに替えないと、店での支払い、交通の乗降からデータのやり取りまでできなくなるという時代がすぐそこまで来ています。
 さらに5Gの時代に入ろうとしています。大量の情報瞬時に流れる時代。今ダウンロードに2〜3時間かかっていた動画が2〜3分でダウンロードできるようになります。だから、ガラケーで生活している人は情報が届かなくなる。通信だけでなく他の市民サービスを受けるためには、スマホ等々にしていかないと全く難しくなります。
 今、飲食ではネットを使わないと商売にならない。サイトを持っているとか、ポータルサイトに繋がっているとか。スマホはミニコンピュータなのだから、BtoB、BtoCなどの情報の受発信は携帯になっていきます。各分野でのイエローキャブ現象が起きます。
 だから、経営トップ並びに経営幹部は情報をウォッチしながら、会社の方向、進む道、そのかじ取りを、素早く決断し、行動しないと、競合ではなく、時代に負けてしまうことになります。
ツールとコンテンツを混同しないように
 ただ、アメリカ西海岸でデジタル化が急速に進んでいると言っても、手段と本質、ツールとコンテンツを混同しないで頂きたい。
 要するに電話がメールになった、電話発注が電子発注になった、レジがフルセルフ、セミセルフになった、と言ってもそれはあくまでも、手段、ツールの話です。アマゾンゴーではレジがなくなっています。チェックアウトはなく、お金も持たなくていい。でもそれはあくまでも支払い方法というツールの問題です。生活者が物を調達するのにネットで買うのか、店に行ってリアルに見て触って買うのか、それはあくまでもツールの問題であって、営業問題なのです。
 本質的な問題は、商品、コンテンツです。いつの時代も我々食品小売業は健康産業であって商品を売っています。その原点に戻って商品と四つに組んで見直してもらいたい。経営の視点からみるとツールが独り歩きしていないか。レジやネットも重要な経営課題ではありますが、お客様は最終的にはシステムを買いにくるのではなくて、あくまでも商品を買いに来るのです。
 旅行会社ならどれだけ価値ある旅行プランなのか、食品であればどれだけ健康にプラスなのか、季節を提案する商品なのか、ネットなどでその商品の良さを伝えるが、最後に食べたり消費するのは商品なのです。だから商品をもう一度見直し、一番ベストな商品開発をして頂きたいと思います。

高齢社会に入りリーズナブルな商品提供を
 高齢社会に入り、老後資金が2,000万円必要という金融庁の試算もありましたが、要するに、長生きするにはコストが掛かるということです。人生を楽しく豊かに長生きしたければ応分の準備も必要だし、健康的な食生活も大事。だからお店の使命として、お客様にリーズナブルな商品、買い易く価値のある商品を提案提供することが求められています。
 価格には、チープとリーズナブルの2つがあります。チープというのは安い、それなりの商品という意味です。リーズナブルは割安ですが、理にかなった価格。生活者はチープではなくリーズナブル、価値ある商品を求めています。大手SMチェーンの2.3月決算をみてもリーズナブルな価格で商売しているところは良い決算をしています。逆にポイントなどをばらまいている企業の決算は良くない。
仕入を見直して商品力のアップを
 今消費者にとって重要なのは健康的生活なのです。長生きするためにはお金をあまり使いたくないのが本音。我々は国民生活者の味方ならば、リーズナブルな商品をタイムリーに提案提供するのが原点です。それを実現するために価格問題に正面からぶつかっていくことです。
 もう一度仕入れ原価、仕入先、商品を見直して商品力を上げる。
 ニトリさんなど良いものを安く売っているところは皆伸びています。モノが良ければ安いのが良いに決まっているのですから。アップルでも画像の質が良いから売れている。価格に消費者は非常に敏感になっているので、もう一度仕入れ先から見直して無駄を省いて、より良いものを安くお客様に提案提供できるような企業体質に変えてもらいたい。
 スマホにしても車にしても、売れているものは品質的にも技術的にもかなりレベルが高い。なおかつ、買い易くするために企業努力している商品のみ売れています。
 食品でもまずいものは売れない。昔のように安かろうまずかろうでは駄目です。
ヨドバシカメラさんが好調なのは、丁寧な接客と商品価値が見合っているから。家電もドラッグも良いケーススタディがあるのだから他業種も見て欲しい。応分にリーズナブルな商品を売っているわけで、我々スーパーマーケットも付加価値に逃げてはいけない。要は商品そのもので勝負するように仕入れの努力、販売の努力を行ってもらいたいと思います。

出典元(2019年8月号セルコレポート メッセージボードより抜粋)