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理事長コラム

理事長コラム

労働力不足見据え、人時生産性向上を実現するツールの導入増える

 早いもので今年も今月で1年が終わりますが、振り返ると20年春から始まったコロナ、それに22年2月24日から始まったロシアのウクライナ侵攻、この2つを引きずった23年でした。それに加えて、11月にはパレスチナのハマスがイスラエルを攻撃したことで、中東で新たな紛争が始まっています。混沌とした20年代の幕開けの3年間でした。
 また、コロナはある程度ワクチンが浸透して免疫を持った人が増えてきて、5月には感染症分類が5類に移行しました。ただ完全に終息したわけでなく、コロナとの共生は続いています。またインフルエンザも流行しています。ウクライナの戦争ではっきりしたことは、ベルリンの壁が1989年に崩壊して91年に東西ドイツが統合、冷戦が終わって明るい雰囲気の中で21世紀を迎えましたが、20年が経過し、冷戦時代とは異なった対立構造が出てきたことです。自由主義国家と強権国家という新たな対立。それに対してグローバルサウスとしてアフリカ、アジアが絡んできて大変複雑になってきています。
 今までのように、自由主義礼賛とばかりは言えなくなってきていて、世界の体制を見直す時期にきていると思います。
 グローバルサウスはインドが台頭してくると思いますが、日本はGDPがドイツに抜かれて世界第4位になると言われています。1ドル150円という円安の反映でもありますが、日本が21世紀に入って伸びられなくなっているという顕著な表れです。
 その中で政府は賃上げして価格転嫁し物価を3%にインフレ誘導しようとしています。そうした中で11月に言われていたことは物価の上昇に対して賃金の上昇が追いついていないこと。

年末商戦だけでなく普段の商売も大事に
 こうした中で私たちは年末商戦を迎える。先が見えないので消費者は節約、倹約ムードになっています。
 外食産業はコロナ前に戻ったようですが、夜の宴会も1次会で終わり切り上げが早い。その頻度も高くないようなので、年末に向かい内食需要はしっかりあります。
 気を付けないといけないのは、12月に入ると年末商戦にばかり気を取られがちになること。年末4日間の売上構成比は減っているので、しっかり足元を見て12月の初めから売上を取っていかないといけない。私たちも例年、普通食をもっと売るべきだったと反省しています。クリスマス、大晦日ばかりでなくて、それ以外の日でいかに売上と荒利を取っていくか。それが新しいスタイルの年末商戦になります。会員企業の皆様にはその中で勝負して成功を収めて頂くことを願っています。

生成AIをいかに使いこなすか
 21世紀に入って技術の進歩が著しい。インターネットで引き起こされた面が強いですが、2022年11月にはチャットGPT3が公開され、その完成度は高く人間に近い回答を出してくれる。23年前半はこれは何なのだろうという感じで見ていましたが、後半になるとそれをどう使って生産性を上げるかというフェーズに入ってきました。進んだ企業を中心に社内で報告書や連絡文書を作成するとか、相談をするとか活用され始めています。今後チャットGPTをどう活用するのか、考える必要があります。
 生成AIではプロンプトという言葉があります。生成AIに物を尋ねる時、こうした表現で尋ねると望む答えが得られ易いというやり方です。
 例えば、「あなたはスーパーで販売計画を立てる専門家です。今年の年末商戦に売れそうなものは何でしょう」と問うと、専門家の意見として答えてくれる。店長ならば「私はスーパーの責任者です。今度のゴールデンウィークに子どもたちが喜びそうな企画を教えてください」とか。
 ただ単に年末商戦で売れるものは何でしょう?と聞くと、生成AIが消費者が欲しいものとしてみるのか、それとも販売のプロとしてみるのか、で回答が違ってきます。
 そのようなことが分かってきたので、どういうプロンプトを入れれば望むべき答えが得られるのかという問題になってきています。
 プロンプトというのは「箇条書きで5つくらいにまとめて下さい」といった質問の仕方、指示の仕方です。
 AIは道具なので、うまく使わないと求める答えがなかなか出て来ない。その求める答えを出すためのキーワードをプロンプトと言っているのです。辞書を引くとプロンプトは、「思い出させるきっかけ」、「誘導する」という意味だと記されています。
 与野フードセンターではまだ使っていませんが、使い方があるというのが分かってきて、大企業で使った例を教えてくれる専門家がいるので、その講義をズームで聞くということを準備しています。

セルフレジ、電子棚札などに普及進む
 今年を振り返ると、コロナ効果で冷凍食品の売上が拡大し、冷ケースもリーチンインや蓋付で省エネ化が進みました。セルフレジも人件費対策と非接触へのニーズから増えました。
 セルフレジは外食チェーンやコンビニで導入しているので、お客様が慣れてきて使うことに抵抗が少なくなったという面もあります。
 また電子棚札が増えました。液晶パネルの見やすさが改善され、値札交換などの作業コストの削減、価格のアンマッチがなくなること、それにより売価変更によるロスが少なくなるなど、導入して得られるメリットとコストとのバランスで再評価されています。省力化ではスライド棚も随分普及しました。
 将来的に消費の減少が見込まれることから、人時生産性の向上が大きな課題になっています。スーパーを経営していると売上とかロスには目が行き、マンアワー管理は後手になってしまう。それを後手にしないで早く取り組んだ方が良いと思います。

価格転嫁など政府誘導のインフレ進む
 スーパーマーケット業界の今上半期決算では1品単価が上がるなど、食品の値上げによる影響が色濃く出ています。
 これまではス―パー側は値上げさせないという行動を起こしていました。ところが政府が価格転嫁と言って、早く値上げしてくれと言い始めました。だから値上げに抵抗しないで、うまく価格転嫁したスーパーが成功しています。
 例年だと値上げするアイテムが少なかったからスーパーは値上げ抑制の方に走りましたが、今回は政府が早く価格転嫁してくれとなったので、特にグロサリーが好調で、うまく荒利を残しながら、転嫁できたところが業績がよかった。昔だと値上げに見せないために荒利を削って安く抑えた。ところが今回は価格転嫁できるようになったのは大きい。
 最低賃金も上がってきているので、政府誘導のインフレが作られつつあるように見えます。ただ実質賃金は上がっていません。来年の賃上げの話も始まっています。今年より来年は上げ幅が大きくなりそうで、世の中が賃金も物価も上がるという風潮に慣れてきたという面もあるように感じています。
 ただ政府に誘導されて価格が上昇しても、経済が活況化するのは難しいでしょう。基本的に経済というのは個人消費が伸びて来ないといけませんが、先行き不安があってなかなかうまくいかない。だから消費を喚起するような政策が望まれているのは事実です。ただうまい回答が出てきていないのが実情ではないでしょうか。
 その中での年末商戦になりますが、会員企業のご成功を願っております。