セルコグループは、全国のスーパーマーケットを様々な角度から支援するボランタリーチェーンです。

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理事長コラム

理事長コラム

激動の時代を生き抜くために。世の中の変化を注意深く見ることが最重要

ホルムズ海峡封鎖。今年最大の衝撃
 まず、現在進行形で起きているホルムズ海峡の封鎖についてですが、これが日本経済に与える影響は極めて甚大です。専門家の予測では、この封鎖はかなり長引くとの見方が強く、いつ解除されるのか全く予断を許さない状況にあります。すでに実害は広がり始めており、三井化学などがエチレンの減産に入るなど、石油が輸入できないことによる悪影響が製造現場を直撃しています。このナフサの不足という事態は、我々小売業にとっても他人事ではありません。コンビニ弁当の容器から、衛生管理に欠かせないゴム手袋まで、あらゆる生活必需品の供給とコストに直結します。
 安倍政権以降、日本の石油輸入の約97%がこのホルムズ海峡を経由する構造になっています。そこへ、当時1ドル100円程度だった為替が現在は159円前後まで進み、通貨価値は約6割も下落しています。まさに円安とのダブルパンチです。中東依存度の低減は50年前から叫ばれてきましたが、残念ながらこれまで真剣に取り組まれてきませんでした。今からでも再生可能エネルギーを含めた戦略的多角化を急がねばならないと思います。

「賃金が上がらない国」への懸念
 一方で国内政治に目を向けると、高市政権は過去最大となる122兆円の予算を衆議院で通過させました。参議院でも4月11日には自然成立する見通しです。しかし、特例国債を5年間発行し続けることを容認する法律が成立することで、円はさらに下落する圧力を受けるでしょう。
 今年1月、ようやく物価上昇率を賃上げ率が上回る兆しが見えましたが、この原油高が加われば、再び「賃金が上がらない国」へと転落する可能性が高い。国民生活を困らせないための予算だと高市政権は述べていますが、そうなると「年初の総選挙は何のためだったのか」という疑念が国民の間に広がるのは避けられません。
 生活圏においても、ホルムズ海峡封鎖のニュースが流れただけでガソリン価格が跳ね上がっています。高市総理が備蓄放出を表明しても、市場には響かないほど事態は深刻です。イラン側は徹底抗戦の構えを崩しておらず、決着の出口が見えません。
 ここで注視すべきは、実は米国のほうが不利な立場に追い込まれているという事実です。米国は現在、いわば人質を取られているような状態にあります。しかし、日本の報道を見ていると、米国のマイナス面があまり報じられていないように感じます。
 ワシントン・ポスト紙がトランプ氏の過去の発言を分析したところ、その75〜76%が嘘であることが判明しています。それにもかかわらず、彼が口にしたという理由だけで真実のように扱うのは、虚偽情報の拡散に加担しているのと同じです。
 このイランを巡る紛争は、簡単には終わらない。万が一、米国が敗北し、イスラエルが事実上消滅するような事態になれば、窮鼠猫を噛む状況でイスラエルが核に手を出す懸念さえあります。米国が屈しない限り、ホルムズ海峡の封鎖も続くでしょう。
 だからこそ、私たちも世界各国の多角的なニュースソースに触れ、戦争の動向を冷静に見極める必要があります。米国以外のメディアを見ると、米国がいかに追い詰められ、水面下で停戦の糸口を必死に探っているかが透けて見えます。オマーンを介した停戦申し入れに対し、イラン側は米軍基地とイスラエルの完全撤退、損害賠償、公式謝罪を要求しており、一歩も引いていません。石油施設が標的となっている以上、供給能力の回復は困難であり、世界的な大インフレと大リセッションが、金融危機を伴ってやってくる可能性も覚悟しなければなりません。
 こうした国際情勢は、日本の生活者の足元にも確実に忍び寄っています。幅広い値上げが見込まれ、数ヶ月後には電気代、そしてガソリン代上昇による輸送コスト増が、あらゆる商品価格に転嫁される恐れもあります。温室栽培などの農業生産コストも跳ね上がります。
 その中で我々が留意するべき点として、かつてのオイルショック時のトイレットペーパー騒動のような買い溜めパニックを防ぐことも大事です。

「便利・手ごろ・値ごろ」をキーワードに
 世の中がインフレへと傾く中、賃金の伸びが追いつかない現状では、やはりディスカウンターの勢いが強まります。イトーヨーカ堂などでも格安PBを3割増やすなど、価格戦略を鮮明にしています。
 ただスーパーマーケットとしては、単に安さで競うのではなく、「量目」を調整しながら「値ごろ感」を出していく工夫などが求められます。そして簡便商品などお客様にとっての「便利さ」を追求することが、毎日の来店客数を維持する鍵となります。「便利・手ごろ・値ごろ」などのキーワードを軸に、長期的な視点でMDを再構築していく必要があると思います。
 季節の捉え方も変えなければなりません。4月に入れば、もはや「初夏」であるという認識が必要です。かつては4月上旬が桜の季節でしたが、昨今は3月20日過ぎには満開となり、入学式にはもう花がないというのが当たり前になりつつあります。商売もこれに合わせ、4月には初夏の食材を並べ、MDを構築する。石油製品の値上げが本格化するのはゴールデンウィーク明け以降と予測されますが、今年の行楽シーズンはガソリン高騰の影響で、遠出よりも地元でのBBQやハイキングなどが主流になると思われます。そこをターゲットにした品揃えや、電気代節約に繋がる「食べきりサイズ」の提案など、生活シーンを想定した工夫が重要です。

スポーツビジネスの変化
 話題は変わりますが、3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、放映権がネットフリックスに独占されるという象徴的な出来事がありました。NHKが高額な放映権料を断念した結果、ネット環境がない層は視聴できず、パブリックビューイングも制限されました。
 これまで「大型イベント=テレビ放送=家飲み・外飲み需要」という構図で組んできた販促計画は、今後こういった場合には通用しなくなってきます。特に高齢層にはサブスクリプションへの抵抗感が強く、「解約方法がわからない」といった不安も根強い。一方で若年層は柔軟に使いこなしています。こうした視聴スタイルの分断を理解した上で、イベント関連のセールは計画する必要があります。

「伴走型セルコ」として共に歩む
 21世紀に入り、変化の振れ幅は益々広がっています。ITの世界では、AIエージェントが実用段階に入りました。AIは人の仕事を奪うものではなく、深刻な人手不足を補い、効率化するための道具として使われてきています。
 例えば「クラウドサイン」というアプリによる契約業務の簡略化や、「ピープルエックス」のようなAIによる人事面談の代行など、事務的な負担を軽減するツールが次々と登場しています。スーパーの現場でも、人手が必要なバックルーム作業など以外で、AIに置き換えられる業務がないか探るべきです。
 セルコでは今年も教育セミナーを通じて、AIのフリーツールなどを用いたAI活用を推進します。実際に使ってみなければその価値はわかりません。実際に触れてもらい、小さなところから「AIアレルギー」を取り除いていきたいと思います。
 中小企業がこの激動の時代を生き抜くには、個社の力だけでは限界があります。セルコ本部も、加盟社に寄り添い、共に考える「伴走型」組織としての機能を強化していく必要があると考えています。
 情勢は1ヶ月でガラリと変わります。変化を注視し、困ったことがあればいつでもセルコ本部に相談してください。皆さんと一緒に知恵を絞り、この2026年という変化の年を乗り越えていきたいと考えています。共に頑張りましょう。