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北海道の激戦地を視察。苫小牧では3社3様の戦いがヒントに
今年の国内研修会は「2025年全国セルコグループ国内研修会in北海道」として9月25日、26日に開催しました。17名が参加して苫小牧の激戦状況と、札幌のイトーヨーカドー跡へのロピアを視察し、大変良い勉強になったと思います。
苫小牧は隣の千歳に半導体工場のラピダスが進出し、若い人たちの人口が増える見込みで、地域的には光が射している感じがします。
一方で食品小売りは激戦になってくる状況です。今回はセルコ加盟企業の豊月さんの沼ノ端店が激戦に備え、業態転換する大改装をされたので、それを中心に視察をしました。
苫小牧の沼ノ端には豊月さんの他にコープさっぽろ、マックスバリュ、トライアルが1q内外で商売をしています。豊月さんは原点回帰を掲げ、生鮮の強化とディスカウントを組み合わせて、大きく売上を伸ばされていました。特に印象的だったのは、苫小牧港の魚種の豊富さを活かして鮮魚の売場を大改装し、市場の魚をそのまま新鮮に販売するようなやり方で非常に人気を呈していました。
平(富郎エコス)会長がよく言われるように、地域一番の売場づくりから始めて店を盛り上げていこうということを実践されていました。今後新しく流入してくるお客様を相当引き付けるのではないかと思われます。
SM化進めるトライアルにイメチェン
一方、トライアルはスーパーセンターという形で売場面積を広くとり、食品だけでなく、衣料品、住関連品を揃えて展開すると共に、ITを駆使してお客様の買い上げ動向を掴んで売場の改革を行っています。例えば青果でもSKUを相当増やしながら、生鮮食品全体の品揃えを充実させたスーパーマーケットになりつつあります。惣菜などでは自社グループの明治屋が開発した名物商品でお客様を引き付ける営業をされていたのが大変印象的でした。ある意味で、従来のディスカウントストアのイメージからスーパーの優等生的な売り場になりつつあるという印象を受けました。
トライアルが開発している、カートで買い物しながら商品スキャンしセルフ精算するスキップカート(レジカート)は来店客の3割に利用されており、今後もITを活用したスーパーとしての売場展開が進んでいくように感じる状況でした。
コープさっぽろはその2店に押されて食品売場は少し特徴が薄いようにみえました。ただグロサリーは強化されていて、お酒売り場は商品が充実し、2社に比べ地域一番の売場になっていて、生鮮よりグロサリーで戦おうとしているように見えました。通りを挟んで無印良品もテナントで入っていて、テナントを充実させ総合バランスで採算をとる戦略のようでした。このように三者三様の戦い方が勉強になりましたし、これをヒントに参加された企業が自分たちの戦い方をそれぞれ展開していただけると大変ありがたいと思っています。
札幌市内ではイトーヨーカドー跡に出店したロピアの屯田店は、同社流の楽しい売場を作っていました。視察日にはシャインマスカットを大々的に展開されていました。私たちもコロナ前はこうした売り場を作っていましたが、楽しい売場づくり、量目の多さは大変魅力的でした。
新札幌乳業では近くの牧場から生乳を直送して非常に特徴のある牛乳を製造し、またそれを使用したお菓子を製造しているメーカー(みれい菓)さんも訪れました。これらのメーカーさんの商品も今後セルコでご紹介し、セルコメンバー社の営業強化の一助となればと思っています。
予期せぬサイバー攻撃にどう対処するか
アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃にあい大きなニュースになっています。
報道によりそのサイバー攻撃を振り返ると、9月29日にサイバー攻撃によりシステム被害が発生し、国内の酒類、飲料の出荷業務が停止し、受注や主要工場の生産も一時停止したと発表されました。
本来、こうしたことはメーカーさんにとってあまり発表したくないことですが、市場に迷惑をかけることから発表されたと思います。
9月30日になると、配送遅れが発生し、株価も下落、小売店にも影響が広がりました。大手食品メーカーでは共同配送を行っているので、アサヒの商品が来ない為に、トラックの発車が遅れるということも起こっていました。
2日後になって、ランサムウエアによるサイバー攻撃の可能性が高いということが分かって、6日以降に発売予定だった飲料・食品の12商品の新製品発売は延期されました。さらにその翌日、セブンとファミマのPB飲料出荷が一部停止されました。
10月3日にはランサムウエアによる被害と分かり、復旧の目途は立たず、情報漏洩の可能性もあるといわれました。
6日になるとシステムの一部が復旧し、工場も一時的に再開され、社外からの電子メール受信が一部復旧しました。
6日午後になると、キリン、サントリーなどへの発注が増えて、発注に応じられないなど、他のメーカーに影響が広がり、7日にはキリンがビールの出荷調整を表明しました。
8日までにロシア語圏を拠点とするハッカー集団の「Qilin(キリン)」が犯行声明を出した。彼らが声明を発表したというよりよりも、ダークウエッブ(闇サイト群)で、「Qilin(キリン)」を名乗るグループが攻撃している企業のリストの中にアサヒビールが上がってきた。「Qilin」はその中でアサヒの財務情報や事業計画書、従業員の個人情報など、少なくとも27ギガバイトのデータを盗んだと明かしています。だからアサヒとしては相当大きな被害を受けたことになります。
このあたりから被害の全容が外の人たちにも分かり始めてきました。
アサヒはビールだけでなく、ワインではアルパカ、ウイスキーではニッカを扱っていて大きなダメージを受けています。メーカーも出荷できないし、私たち販売している者にとっては商品が入ってこないという状況にあります。
アサヒは大企業なのでDXがすごく進んでいる。受発注も細かく分かれていて、本店、支店、工場などがつながっていて、今回一斉に止まってしまった。以前よりもDX化が進んでいるだけにサイバー攻撃にあった時の被害が全体に及ぶ。復旧させるのにバックアップがあればできるのではないかというが、それぞれのシステムのバックアップ時期が違うので、サブシステムと整合性をとって動かすのは至難の業になると想像されます。
ある意味で私たちがDX化を考えていくときに、こういう側面を考えて設計しなくてはいけないという教訓となるような事件といえます。
小売業からみると、大手の総合食品・飲料メーカーが被害にあうとその影響は大きい。発注をどうするとか考えておかないといけないし、飲料業界においては大手1社が被害にあうと残りの会社が売れていいという話ではなく、他の企業もその需要を埋めて、お客様への影響が最小化できるように小売も含めて食品業界全体で対策を考えていかないといけない。そうした非常に大きな問題を含んでいると思います。
今回のことはどの企業にも起こりうる、防ぎようのないこと。サイバー空間で大きな災害が発生して企業活動が止まってしまったという教訓的な出来事と思います。
年末は絞り込みながら売り筋商品に集中して
11月は12月の商戦に備えないといけない。相変わらず物価の高騰は続いていますが、収入がそれに追いついていかない状況なので、お客様は相当倹約しながら年末を迎えることになります。年末商品の選定にあたっては絞りこまれると思います。
私たちはこれまでお客様にいろいろなチョイスを提供する形で商品を広げてきていますが、私たちの方もお客様の倹約志向に合わせてどちらかというと絞り込みながら、売れ筋商品を売っていくようにしないと年末商戦はおそらくうまくいかない。
今年の年末商戦は私たちが経験してきた延長に無い商戦になるので、よくよくお客様の11月の買い物動向を見ながら12月の準備をしていただくようよろしくお願い申し上げます。
苫小牧は隣の千歳に半導体工場のラピダスが進出し、若い人たちの人口が増える見込みで、地域的には光が射している感じがします。
一方で食品小売りは激戦になってくる状況です。今回はセルコ加盟企業の豊月さんの沼ノ端店が激戦に備え、業態転換する大改装をされたので、それを中心に視察をしました。
苫小牧の沼ノ端には豊月さんの他にコープさっぽろ、マックスバリュ、トライアルが1q内外で商売をしています。豊月さんは原点回帰を掲げ、生鮮の強化とディスカウントを組み合わせて、大きく売上を伸ばされていました。特に印象的だったのは、苫小牧港の魚種の豊富さを活かして鮮魚の売場を大改装し、市場の魚をそのまま新鮮に販売するようなやり方で非常に人気を呈していました。
平(富郎エコス)会長がよく言われるように、地域一番の売場づくりから始めて店を盛り上げていこうということを実践されていました。今後新しく流入してくるお客様を相当引き付けるのではないかと思われます。
SM化進めるトライアルにイメチェン
一方、トライアルはスーパーセンターという形で売場面積を広くとり、食品だけでなく、衣料品、住関連品を揃えて展開すると共に、ITを駆使してお客様の買い上げ動向を掴んで売場の改革を行っています。例えば青果でもSKUを相当増やしながら、生鮮食品全体の品揃えを充実させたスーパーマーケットになりつつあります。惣菜などでは自社グループの明治屋が開発した名物商品でお客様を引き付ける営業をされていたのが大変印象的でした。ある意味で、従来のディスカウントストアのイメージからスーパーの優等生的な売り場になりつつあるという印象を受けました。
トライアルが開発している、カートで買い物しながら商品スキャンしセルフ精算するスキップカート(レジカート)は来店客の3割に利用されており、今後もITを活用したスーパーとしての売場展開が進んでいくように感じる状況でした。
コープさっぽろはその2店に押されて食品売場は少し特徴が薄いようにみえました。ただグロサリーは強化されていて、お酒売り場は商品が充実し、2社に比べ地域一番の売場になっていて、生鮮よりグロサリーで戦おうとしているように見えました。通りを挟んで無印良品もテナントで入っていて、テナントを充実させ総合バランスで採算をとる戦略のようでした。このように三者三様の戦い方が勉強になりましたし、これをヒントに参加された企業が自分たちの戦い方をそれぞれ展開していただけると大変ありがたいと思っています。
札幌市内ではイトーヨーカドー跡に出店したロピアの屯田店は、同社流の楽しい売場を作っていました。視察日にはシャインマスカットを大々的に展開されていました。私たちもコロナ前はこうした売り場を作っていましたが、楽しい売場づくり、量目の多さは大変魅力的でした。
新札幌乳業では近くの牧場から生乳を直送して非常に特徴のある牛乳を製造し、またそれを使用したお菓子を製造しているメーカー(みれい菓)さんも訪れました。これらのメーカーさんの商品も今後セルコでご紹介し、セルコメンバー社の営業強化の一助となればと思っています。
予期せぬサイバー攻撃にどう対処するか
アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃にあい大きなニュースになっています。
報道によりそのサイバー攻撃を振り返ると、9月29日にサイバー攻撃によりシステム被害が発生し、国内の酒類、飲料の出荷業務が停止し、受注や主要工場の生産も一時停止したと発表されました。
本来、こうしたことはメーカーさんにとってあまり発表したくないことですが、市場に迷惑をかけることから発表されたと思います。
9月30日になると、配送遅れが発生し、株価も下落、小売店にも影響が広がりました。大手食品メーカーでは共同配送を行っているので、アサヒの商品が来ない為に、トラックの発車が遅れるということも起こっていました。
2日後になって、ランサムウエアによるサイバー攻撃の可能性が高いということが分かって、6日以降に発売予定だった飲料・食品の12商品の新製品発売は延期されました。さらにその翌日、セブンとファミマのPB飲料出荷が一部停止されました。
10月3日にはランサムウエアによる被害と分かり、復旧の目途は立たず、情報漏洩の可能性もあるといわれました。
6日になるとシステムの一部が復旧し、工場も一時的に再開され、社外からの電子メール受信が一部復旧しました。
6日午後になると、キリン、サントリーなどへの発注が増えて、発注に応じられないなど、他のメーカーに影響が広がり、7日にはキリンがビールの出荷調整を表明しました。
8日までにロシア語圏を拠点とするハッカー集団の「Qilin(キリン)」が犯行声明を出した。彼らが声明を発表したというよりよりも、ダークウエッブ(闇サイト群)で、「Qilin(キリン)」を名乗るグループが攻撃している企業のリストの中にアサヒビールが上がってきた。「Qilin」はその中でアサヒの財務情報や事業計画書、従業員の個人情報など、少なくとも27ギガバイトのデータを盗んだと明かしています。だからアサヒとしては相当大きな被害を受けたことになります。
このあたりから被害の全容が外の人たちにも分かり始めてきました。
アサヒはビールだけでなく、ワインではアルパカ、ウイスキーではニッカを扱っていて大きなダメージを受けています。メーカーも出荷できないし、私たち販売している者にとっては商品が入ってこないという状況にあります。
アサヒは大企業なのでDXがすごく進んでいる。受発注も細かく分かれていて、本店、支店、工場などがつながっていて、今回一斉に止まってしまった。以前よりもDX化が進んでいるだけにサイバー攻撃にあった時の被害が全体に及ぶ。復旧させるのにバックアップがあればできるのではないかというが、それぞれのシステムのバックアップ時期が違うので、サブシステムと整合性をとって動かすのは至難の業になると想像されます。
ある意味で私たちがDX化を考えていくときに、こういう側面を考えて設計しなくてはいけないという教訓となるような事件といえます。
小売業からみると、大手の総合食品・飲料メーカーが被害にあうとその影響は大きい。発注をどうするとか考えておかないといけないし、飲料業界においては大手1社が被害にあうと残りの会社が売れていいという話ではなく、他の企業もその需要を埋めて、お客様への影響が最小化できるように小売も含めて食品業界全体で対策を考えていかないといけない。そうした非常に大きな問題を含んでいると思います。
今回のことはどの企業にも起こりうる、防ぎようのないこと。サイバー空間で大きな災害が発生して企業活動が止まってしまったという教訓的な出来事と思います。
年末は絞り込みながら売り筋商品に集中して
11月は12月の商戦に備えないといけない。相変わらず物価の高騰は続いていますが、収入がそれに追いついていかない状況なので、お客様は相当倹約しながら年末を迎えることになります。年末商品の選定にあたっては絞りこまれると思います。
私たちはこれまでお客様にいろいろなチョイスを提供する形で商品を広げてきていますが、私たちの方もお客様の倹約志向に合わせてどちらかというと絞り込みながら、売れ筋商品を売っていくようにしないと年末商戦はおそらくうまくいかない。
今年の年末商戦は私たちが経験してきた延長に無い商戦になるので、よくよくお客様の11月の買い物動向を見ながら12月の準備をしていただくようよろしくお願い申し上げます。



